残業代がしっかりと法律に則て支給されていないのではと、疑問が生じたら、まずは、上司に相談すると良いいでしょう。
ただ信頼を置ける人間関係でなければ第三者機関である労働基準監督署か弁護士に相談することをお勧めします。
ここでは、未払いの残業代を請求することが出来る、残業代請求権について解説します。
注目してもらいたいのは、請求する、未払いの残業代を受け取るには、時効があるということです。時効を過ぎれば、請求する権利は消滅します。現在法改正により、遡る期間が2年間から、3年間へ延長されています。今後いずれ5年間まで延長すと決めていますが、当分の間は3年間です。
残業代請求権とは
それでは残業代請求権について解説していきます。
残業とは、契約業務時間以外の業務時間を言います。朝始業前に早めに出社し、清掃準備のための業務や契約時間後の業務、また休日出勤も残業です。残業も立派な業務なので、対価が支払われる義務は雇用側にあります。その対価は1分単位で支払われます。
残業に対して支払われるべき賃金が支払われていない場合、労働者は未払いの残業代を請求する権利が保障されています。この権利を残業代請求権といいます。
残業代請求権の時効とは?
残業代を請求する為に注意しなければならないのは、残業代が発生した時から遡って3年間までという時効があるということです。時効とはその期間を過ぎれば消滅してしまうということです。
そのため期間を気にして、残業代請求権を申し出るための準備を進めることは重要でしょう。準備を進める途中で時効期間を過ぎ消滅してしまったと、ならないように注意が必要です。
時効消滅すると
時効消滅すると、請求して支払いを受けるはずの期間である、未払い残業代を受け取られなくなります。
そのため、時効を意識して準備をすることを前提に進めていきましょう。
冒頭でも述べましたが、時効は遡って3年間です。法改正で5年間まで延長は決まっていますが、当分の間は3年間です。
準備に必要なものは、証拠付けるにふさわしいものです。細かく、こんなものまでと素人では気づかないものもあります。
こういった期間や準備に関わる証拠に有効な必要なものなど、専門的にアドバイスをしてもらえる弁護士に相談すると安心して進められるでしょう。
退職しても残業代請求権は保障される
さて、退職したら、自動的に残業代請求権も保障されないのでしょうか?いいえ、退職後も保障されます。退職してから、残業代を請求する場合は、消滅してしまう時効に注意が必要なのと、証拠となりうる物をしっかり保存しておく必要があります。退職と同時に処分しないよう、大切に保管しておきましょう。
雇用側も退職者の賃金台帳、いわゆる業務時間を記録したタイムカード等を退職後3年間は保存しておくことを義務づけられています。
とにかく会社を辞めたいなら
繰り返しになりますが、退職しても未払いの残業代を請求する権利は保障されています。
とにかく会社を辞めたいという場合は、辞めても権利は残っているので退職後に残業代請求をすることが可能です。ただ証拠となるものを処分しない様に注意しましょう。
加えて退職を意識したならば、残業代を請求するために有効な証拠を集める準備を進めていくと良いです。
【証拠となるもの具体的な1例】
- タイムカード
- 勤怠記録
- 業務中の送受信メール
- 上司からの指示書やメモ、メール
- 給与明細、源泉徴収票
1例ですが、これらを長期的に保管をしておく必要があります。
雇用者に疑問が生じ労働基準監督署や弁護士へ相談するか否かに関わらず、送受信のメールは、やり取りが終わったから消去するのではなく、日頃から保存しておくことが大切であると言えるでしょう。
給与明細や源泉徴収票も受け取ったら破棄するのではなく、保管しておく、時効消滅を前提にすると、3年間は保存しておくと良いいでしょう。保存しておくことは社会人として大切なことです。
有効な証拠は、他にもあります。証拠に有効なものをまとめた記事もありますので、ぜひそちらを参考にしてください。
まとめ/残業代請求権は3年以内
残業して一生懸命働いたのに対価が支払われないと労使関係の信頼性も失われてしまいます。疑問が生じたら、声に上げて訴えなければ変わらないという状況まではしたく無いというのが本音という方もいらっしゃるでしょう。
健全な職場環境を提供するのが雇用者の義務です。労働者を守るために労働基準法はあります。労働者が労働を強いられ健康を失ってしまう現実があります。現状に呼応して法律を改正し、より労働者を守ることを目的に法改正は行われています。
ぜひ悩まれているなら、労働基準監督署や弁護士に相談してください。お住まいの都道府県には気軽に弁護士へ相談できる法テラスもあるので活用しましょう。