未払いの残業代を請求する場合、残業を証明するものが必要になります。

証明するものの条件は有効であること、有効なものを提示すれば未払い残業代を請求し、支払いを受けとることが出来ます。

では有効な残業を証明するものは何か、具体的に挙げ解説していきます。

未払いの残業代を請求

残業代に当てはまる条件やその計算公式についても説明してきました。受け取っていた残業代に疑問が生じ、納得がいかない場合、雇用側に未払い請求をすることが出来ます。

それは退職しても変わらず請求することが出来ます。

ただし、請求する場合に注意しなければならないのは、時効消滅があるということです。

保障された期間を過ぎれば消滅してしまいます。保障される期間は3年間です。

残業を証明してくれるものは?

それでは、具体的に残業を証明してくれるものを解説します。

ここで紹介する証明するものの条件は有効であるということです。

  • タイムカード:業務時間を始業から就業までを記録するカード※形態はカードやデジタルPOSなど 
  • 勤怠記録:勤務時間内容を記録したタイムカードなど※在宅ワークの場合は、各自のパソコンに出勤・退勤時間の記録が残るアプリ
  • PCのログインとログオフ:各自業務で使用するパソコンをログインした時間とログオフした時間
  • 社員IDカード:会社通行証として使う社員IDカードを通した時間
  • 業務中に取り行った送信メール:業務に関わるメールを送信した時間

証明できる可能性があるもの

先に紹介した「有効な証明」よりも弱いですが、可能性がある証明できるものを具体的に挙げ解説します。

  • 上司からの指示を裏付ける書類やメール、メモ:上司から受けた指示であれば、指示通りに業務を行ったと言える
  • 業務日報や営業日報:外回りで直帰という部署は、主に証明するに値するもの
  • 手帳:業務のスケジュールを記載した手帳、予定通り行ったと言える

未払いを計算するために必要なもの

  • 給与明細
  • 源泉徴収票
  • 雇用契約書
  • 労働契約書
  • 就業規則の写し

契約をする際に必要な書類、契約書の控えや就業規則の写しは処分せずにしっかりと保管しておきましょう。退職後3~5年間は保管しておくのも大切です。

時効消滅に注意

先でも述べましたが、残業代請求には時効があります。時効は3年間までです。5年間まで延長されましたが当分の間は3年間です。時効を過ぎれば消滅してしまいます。

ということは、具体的に挙げた証明するものは、請求するか否かに関わらず、3~5年間は保管しておくと良いと言えるでしょう。

残業の証拠が手元に無くても請求する方法

残業代を請求するとは思ってもいなかったから、証明するものなんて手元に保管していません。いざ残業代を請求するという時に慌てるということもあるでしょう。

証拠が手元に無い場合は、雇用側に提示してもらうことが出来ます。

雇用側に提示してもらう

雇用側は賃金台帳等、労働者に支払った給与情報や、タイムカードの就業時間を記録したものを保管しておくことが義務付けれています。

退職者に対しては退職後3年間は保管しておかなければなりません。

万が一証拠が手元にない場合は、雇用側にその証拠を提示してもらうことが出来ます。

ただ、これは雇用側に提示をするか否かを委ねた、任意であるという点に注意が必要です。任意であるということは提示しないことも選択出来ます。提示してもらえれば良いですが、提示してもらえ無ければ、証拠が揃わず請求は出来ないということになってしまいます。

証拠保全申立

任意の証拠提示に応じない場合の対応策として、裁判所に申立てることが出来ます。未払い残業代請求の訴訟を起こすことになります。専門の弁護士を立て雇用側に証拠を提示するよう申立をします。

大切なことは社会人として、日頃から業務時間や給与に関わるもの、業務に関わるものは保存・保管しておくことが望ましいでしょう。

まとめ/残業代未払いを雇用者に請求する

残業代未払いを雇用者に請求する場合、証拠となるものが必要です。証拠となる紹介した有効なものは時効消滅する3~5年間は、大切に保管・保存しておくことは重要です。請求するか否かに関わらず、社会人として必要でしょう。

いざ、残業代請求をするのに、手元に証明できるものが無くても、雇用側に提示を求めることができます。雇用側には賃金台帳など保管する義務があります。手元になくても、請求することを諦める必要はありません。

ただ、雇用側の提示は任意であるため、提示をしないという選択肢もあります。

求めに応じてくれない場合は、裁判所へ訴訟を起こすようになります。悩んでいるならぜひ、専門の立場からアドバイスをもらえる弁護士へ相談されることをお勧めします。お住いの都道府県には気軽に弁護士へ相談できる機関、法テラスもあるので活用すると良いでしょう。